【令和の虎】「牛丼の塩」で虎を圧倒!日本一の塩職人・田野屋塩二郎とは?

九条辰季

起業家や個人事業主が、自らの事業やアイデアを複数の投資家(虎)にプレゼンし、出資や協業を勝ち取る人気YouTube番組「令和の虎」。

その通販特化版「通販版令和の虎(通販の虎)」に、40人目の志願者として登場したのが、高知県田野町の塩職人・田野屋 塩二郎さんです。

「支援・販売は今日は目的ではありません」――そう言い放って登場した田野屋さん。実は今回、「にっぽんの宝物」という大会の主催者から、以前この番組で不採用になった志願者の”敵討ち”として送り込まれたという、異例の経緯を持つ回でした。

「やっつけてこい」で送り込まれた、今年の世界チャンピオン

田野屋さんは今年の「にっぽんの宝物」世界チャンピオン。以前この番組に出て掲載を逃した挑戦者について、面識も接点もないまま「主催者にやっつけてこいと言われた」という、なんとも義理堅いのか理不尽なのか分からない理由で登壇します。

本人いわく「1人でも『これ見たことある』と言われたら負けて素直に謝って帰る」「弟子が7人いるので負けて帰ることはできない」「誰か1人でも手を挙げなかったら塩作りを辞める」と、実質的に廃業を賭けた挑戦です。

ラインストーン6000個を自分の手で貼り付けた前掛けまで用意し、「これで登場すれば勝てるという自己暗示」と語る徹底ぶりに、虎たちは度肝を抜かれます。

桑田さんも「令和の虎史上でもなかなか類を見ない人」と反応していました。

サーフショップ経営から、日本一を求めて塩職人へ

経歴も強烈です。東京出身、ラグビーからサーフィンへ転向し、サーフショップ経営は順調だったものの「大間のマグロの一本釣り」と「塩職人」を天秤にかけ、大間では「三親等以内でないとブランドを名乗れない」と断られたことから塩の道へ。

日本一の塩職人を探し当て、断られる覚悟でいきなり弟子入りを志願。「給料はいらない、トイレ掃除も薪割りも何でもする」と土下座で頼み込み、修行を始めたといいます。師匠は田野屋さんが独立した数年後に他界し、今はその息子が跡を継いでいるそうです。

「1番になれないなら意味がない、2番はビリと一緒」という価値観のもと、修行時代から「自分だけの塩」を追求し続けてきました。

火も機械も使わない、狂気じみたものづくり

田野屋さんの塩づくりは、火力も電力も一切使わない「完全天日塩」。ビニールハウス内で1時間おきに手作業で塩の面倒を見るという生活を、日の出から日の入りまでの12時間、休みなく10年以上続けているといいます。

混ぜすぎて指が曲がってしまったというエピソードも披露し、虎たちを絶句させました。

夏場は室温70度に達するハウスの中で作業するため、弟子志願者もほとんどが体力的に脱落してしまうそうです。結婚すると塩の管理がおろそかになるという理由で独身を貫き、「塩は娘」と語る徹底した生き方は、まさに”塩に人生を捧げた職人”そのものでした。

現在手がける塩のバリエーションは2000種類以上。フランスのシェフから黒トリュフの出汁を取った塩の注文が入り、価格は1kgあたり100万円にもなったというエピソードも飛び出しました。

予約は常時4000件を抱え、市場にはほとんど流通しないため、フリマアプリで高値転売される事態も起きているそうです。

虎たちを絶句させた”料理そのものの塩”

今回のために特別に用意されたのが、料理の味をそのまま再現した7種類のコース仕立ての塩でした。

具材を海水に漬け込んで出汁を取り、火や調味料を一切使わずに再現するという製法で、先付けの切り干し大根と牡蠣、アサリの吸い物、毛ガニの焼きガニ、甘エビと椎茸の煮物、そして牛丼、抹茶ヨーグルト、ほうじ茶まで並びました。

中でも牛丼の塩は「最初に牛丼の味、後から紅生姜の風味が追いかけてくる」という時系列まで計算された味の設計に、虎の一人が「インターステラーを見ているみたい」と形容するほどの衝撃を与えました。

原価だけで一皿5〜6万円というコストも明かされ、桑田さんからは「これは商売じゃなくてロマンを追いすぎている」という言葉も飛び出しています。

全員一致で掲載決定、合計110個購入

最終ジャッジでは、林さんが5個、松下さんが1個、宮本さんが3個、井口さんが1個、そして桑田さんが100個購入を宣言。合計110個という異例の結果とともに、田野屋さんの塩は満場一致で通販の虎ECサイトへの掲載を勝ち取りました。

「負けたら塩作りを辞める」という覚悟を背負っての登壇でしたが、結果的には虎たちから「やっつけられた気が全くしない、むしろ世界を広げてもらった」「令和の虎史上、最強の志願者」という最大級の賛辞を受け、田野屋さん自身も「大手を振って家に帰れる」と安堵の表情を見せていました。

 感想:技術力は、覚悟の量に比例する

見ていて印象的だったのは、田野屋さんが数字やスペックで自分を大きく見せようとしなかった点です。むしろ「けなされて伸びるタイプなんです、もっと悪口言ってください」と挑発するくらいの余裕を見せながら、最終的には塩の味そのものに語らせていました。

「負けたら辞める」という背水の陣を敷きながらも、それを重苦しく語るのではなく、どこか飄々とした語り口で通していたのも印象的です。

覚悟の重さと、語り口の軽さのギャップこそが、この回を単なる感動秘話で終わらせず、エンターテインメントとして成立させていたポイントだったように思います。

1つのことを突き詰めて、休みなく向き合い続けた事実の説得力には、どんな上手なプレゼンも敵わないのだと改めて感じさせられる回でした。

▼【田野屋 塩二郎】「通販の虎」前編はこちら!

▼【田野屋 塩二郎】「通販の虎」後編はこちら!

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この記事を書いた人

九条辰季

「自分らしく生きる」をモットーに、Webマーケティング記事や広告・デザインまで幅広く執筆する多趣味、雑食系ライターです。 自身の経験をもとに、みなさんが彩りあるキャリアプランを描くお手伝いができればと思います!