Google Meetで解雇された男
2023年11月17日、金曜日の正午。
サム・アルトマンがノートパソコンを開くと、Google Meetの画面にOpenAIの理事会メンバー全員の顔が並んでいた。
その中の共同創業者でもあるイリヤ・サツキバーが口を開く。
「あなたは解任される。これはすぐに発表する」
それだけだった。
前日の夜にサツキバーから届いたメッセージは、「明日の正午に話がしたい」という一文だけ。
まさかクビを告げられるとは、アルトマン本人も思っていなかっただろう。
世界で最も影響力のあるAI企業のCEOが、ビデオ通話一本で職を失った瞬間だった。
日本円にして約2兆円を投じた最大の出資者、マイクロソフトに知らされたのは、発表のわずか1分前のことである。
なぜ、こんなことが起きたのか。それを知るには、8年前に遡る必要がある。
目次
第一章 「人類のために」始めた男たち
2015年12月、シリコンバレーでOpenAIは産声を上げた。
集まったのは起業家、投資家、そして世界有数のAI研究者たち。
その中心で旗を振っていたのが、サム・アルトマンとイーロン・マスクである。
当時30歳のアルトマンは、世界で最も有名なスタートアップ支援機関「Yコンビネーター」の社長として数百社に投資してきた人物だ。
どの技術が世の中を変えるか——それを嗅ぎ分ける力にかけては、シリコンバレーでも指折りの存在だった。
一方のマスクは、テスラとスペースXで不可能と言われた事業を次々と軌道に乗せつつある最中だ。そして同時に、AIがごく少数の巨大企業に独占される未来を本気で恐れてもいる時期でもあった。
前年の2014年にはMITの講演で「AIは悪魔を召喚するようなものだ」と警告している。その危機感が、マスクをOpenAIへと向かわせた。
この時の二人がOpenAIに託した理念は、途方もなく大きかった。
人間と同等か、それ以上の知能を持つAI——AGI(汎用人工知能)を開発し、一企業の利益のためではなく、人類全体のために作るというのである。
なぜ「人類全体のため」にこだわったのか。
当時、GoogleやFacebookといった巨大テック企業がAI研究に莫大な資金を注ぎ込み、優秀な人材を次々と囲い込んでいた。
このままでは、人類の未来を左右しかねない技術が一握りの企業に独占される。
その危機感が、OpenAI設立の原動力だった。
だからこそ、OpenAIはあえて非営利の研究機関として船出したのだ。
株式も配当もない。
利益ではなく理想で人を集める道を選んだのである。
しかし問題は、理想だけでは研究が進まないということだった。
AGIの開発には膨大なコンピュータを何ヶ月も稼働させ続ける必要があり、その費用は天文学的な額にのぼる。
資金集めの旗振り役を買って出たのはマスクで、創設メンバーへのメールで「10億ドル集めよう、足りなければ自身が出す」と豪語したが、実際に集まった資金は約1.3億ドルにとどまった。
一般の人間が一生かけても届かない額ではある。しかしAGI開発の規模からすれば、あまりにも心許ない。
だがこの理念に、人生を賭ける人間が続々と現れた。
中でもイリヤ・サツキバーの存在は決定的だった。
「ディープラーニングの父」と呼ばれるジェフリー・ヒントンの直弟子にして、のちにChatGPTの頭脳を設計することになる天才だ。
Googleからも引く手あまただったこの男が選んだのは、高額な報酬を約束する巨大企業ではなく、まだ何の実績もないこの非営利組織だったのだ。
経営はアルトマン、技術はサツキバー、資金と知名度はマスク。
三者がそれぞれの役割を担い、OpenAIは動き出した。
しかしこの均衡は長くは続かなかった。
2018年、マスクが思いもよらない提案を持ち出す。
自身が率いるテスラにOpenAIを統合し、自らCEOに就任して過半数の株式を握りたいというのだ。
OpenAIの研究が思うように進まないことへの焦りがあったとされているが、他の創設メンバーからすれば、これは理念そのものへの挑戦だ。
人類全体のために設立した組織の支配権を、たとえ創設者であっても一個人に委ねるわけにはいかない。
当然のごとく提案は退けられ、マスクは理事会を去ることになった。
去り際、創設メンバーに宛てたメールにはこう記されていた。
「OpenAIの成功確率はゼロだ」
それが10億ドルを出すと豪語した男の、それが最後の言葉だった。
壮大な理念のもとに集った人間たちの間に、設立からわずか3年で深い亀裂が走った瞬間でもあった。
そしてこの亀裂は、やがてもっと大きくなっていく。
第2章 お金がなければ理想は死ぬ
イーロン・マスクが去ったあと、OpenAIの口座残高は急速に減っていった。
AIの研究には膨大なサーバーが要る。
動かし続けるだけで、金が湯水のように消えていく。
GoogleやFacebookなら自社のデータセンターで好きなだけ回せるが、OpenAIは寄付に頼る非営利団体にすぎない。
入ってくる金より出ていく金のほうが、はるかに多いのだ。
アルトマンはリード・ホフマンに電話をかけた。
LinkedInを作った男で、シリコンバレーでは誰もが知る投資家だ。
「イーロンが支援を切った。どうすればいい?」
ホフマンはその場で1000万ドルの出資を約束してくれた。
ありがたい。
だがAI研究の規模からすれば、焼け石に水だ。
根本的に、仕組みを変えるしかなかった。
そして2019年3月、アルトマンはとうとう自分たちが掲げてきた看板に、自らの手でヒビを入れる決断をすることになる。
OpenAIの内部に営利子会社を設立し、外部からの投資を受け入れる構造に切り替えたのである。
ただし完全に売り渡したわけではない。
利益には上限を設け、超過分は人類全体に還元する——「利益上限付き営利」と名づけられたその構造は、投資家を入れつつ理想を手放さないための、ギリギリの綱渡りだった。
前例がないことであったが、それは当然のことだ。
こんな苦しい折衷案を必要とした組織が、これまで存在しなかったからである。
アルトマンは新しい営利部門の株式を一株も取得せず、「これは金儲けのプロジェクトじゃない」と言い続けたが、理念だけではGPUの電気代は払えない。
研究が止まれば、「人類のため」という旗印ごと沈む。
理想に刃を入れてでも、この船を浮かせておくしかなかったのだ。
アルトマンが投資家を探し回っていたその同じ頃、思いもよらない方角から救いの手が伸びようとしていた——ただしその手もまた、別の恐怖に突き動かされたものだった。
マイクロソフトの技術トップ、ケヴィン・スコットがGoogleのAI研究を自ら徹底的に調べ上げ、CEOのサティア・ナデラと共同創業者ビル・ゲイツに宛てて4ページの社内メモを書き上げたのだ。
「掘り下げていった結果、非常に、非常に心配になった」——自然言語処理、翻訳、音声認識、どの領域を見てもマイクロソフトはGoogleに何年分もの差をつけられている。
世界最大のソフトウェア企業が、AIという次の戦場で完全に出遅れていることがわかった瞬間だった。
ナデラにとって、このメモは警報そのものだった。
ナデラの判断は早かった。
OpenAIに10億ドルを投じることを即座に決断するのだった。
奇しくも、その額はマスクがOpenAI設立時に掲げた数字と同じ10億ドルだった。言い出した本人が果たせなかった約束を、まったく別の巨人が、まったく別の思惑で現実にしたのである。
共同創業者のゲイツはこの賭けを鼻で笑い、「ああ、君はその10億ドルを燃やすことになるよ」と言い放ったが、マイクロソフトの舵を握っているのはもうゲイツではない。
ただしさすがにタダというわけにはいかない。条件はある
OpenAIが生み出すすべてのAIは、マイクロソフトのクラウド基盤「Azure」の上でのみ稼働させる——いわゆる独占契約というものだ。
理想を守るために巨大企業の掌に乗る。
何とも皮肉な取引だが、アルトマンに条件を選ぶ余裕など残されていなかった。
しかしこの金は怪物を目覚めさせることになるのだった。
2020年5月、「GPT-3」が世に出る。
前世代のモデルから学習データの規模を100倍以上に引き上げた結果、作った本人たちさえ驚くような代物が生まれた。
そもそもGPT-3は本来、文章の中の次の単語を予測するためだけに設計されている。
ところがこのAIが、法律文書を書き始め、詩を詠み、プログラムのコードまで吐き出してくるのだ。
コード生成に至っては、設計した人間すら予想していない副産物だ。
外部の開発者がGPT-3に触れた時の感想が、当時の空気をよく伝えている。
「未来を見ているような感覚だ」
そしてその未来には、すぐに値札がつくことになる。
使いたければ金を払え——シンプルな構造だが、これが当たった。
寄付と投資に頼るしかなかった組織が、初めて自分の力で金を稼ぎ始めたのである。
だがこの成功は、組織の中にいた一人の男の首を絞めていくことになる。
ダリオ・アモデイ。安全性研究の責任者だ。
この男には忘れられない記憶がある。
20代で父親を稀少疾患で亡くしたのだが、それからたった4年でその病気の治療法が見つかったのだ。
数年早ければ、父は死なずに済んだ。
技術が人を救えることを、ダリオは身をもって知っている。
だからこそ、AIが人の手を離れて暴走することだけは許せなかった。
ダリオの仕事は、AIが制御不能にならないための安全策を設計することだ。
しかし金が回り始めると、組織内の空気は一気に変わってしまった。
安全なAIを作るために集まったはずの仲間たちが、もっと賢いAIを、もっと速くと求め始めるようになったのだ。
同僚のジャック・クラークは、当時の状況をこう語っている。
「我々の時間の50%は、自分たちの見解を他の人々に納得させることに費やされた。残りの50%が実際の仕事だった」
仕事の半分が社内を説得することに消えていく。
それでも安全のブレーキは、じりじりと緩められていった。
巨大企業が利益のためにAIの安全性を後回しにする——OpenAIは、まさにそれを防ぐために設立された組織だったはずだ。
なのに今まさに、自分たちがその道を歩いている。
ダリオにはそう見えていた。
運命の2020年。
ダリオはGPT-3のリードエンジニアを含む14人を連れOpenAIを去る。
そして自分たちの手で、安全なAIを作るという理念のもとAnthropicという会社を立ち上げたのだった。
こうしてOpenAI最大の競合は、外の世界からではなく、自分たちの中から生まれた。
だがOpenAIにとって本当の転機は、まだこの先に待っているのだった。
第3章 4兆円と時給2ドル
ChatGPTを世に出す前のOpenAIで、この製品の未来を本気で信じていた人間がどれだけいたか。
技術部門を率いる共同創業者のグレッグ・ブロックマンですら、のちにこう漏らしている。
「正直、うまくいくかわからない側にいた。誰もそこまで惚れ込んでいなかった」。
無理もない。
それ以前にOpenAIは、法律や医療といった特定分野に特化したチャットボットを開発しようとして、訓練データの不足という壁に跳ね返されていたのだから。
ならば分野を絞らず、あらゆる話題に答えられる汎用型にしてしまえ——ChatGPTは、その開き直りから生まれた苦肉の策だった。
ブロックマンに言わせれば「ほとんどヘイルメリー」
ヘイルメリーとは、アメフトで負けているチームが試合終了間際に投げ込む、一か八かのロングパスのことである。
2022年11月30日。
そのロングパスは投げた本人たちの頭上を遥かに越えていくことになる。
ChatGPT。
画面に質問を打ち込めば、まるで目の前に人間がいるかのような自然な文章が返ってくる。
レポートの下書きも、プログラムのバグ探しも、旅行の計画も、何を頼んでも応えてしまう。
それまでAIといえば、専門家がプログラムを書いて動かすものだった。
ChatGPTはその常識をひっくり返したのだ。
キーボードで話しかけるだけでいい。
しかも誰でも、すぐに、無料で使える。
アルトマンは後年こう認めている。
「全ての指標で、1桁少ない反応を予想していた」
CEO自身の想定の10倍の速度で、世界がこのアプリに殺到したのだ。
公開から5日で100万人がアカウントを作り、2ヶ月後には利用者が1億人を突破する。
あのTikTokが100万人に届くまでに10ヶ月かかっていることを思えば、その異常さがわかるだろう。
ChatGPTの学習手法を設計した共同創業者ジョン・シュルマンの記憶にも、この数日間は焼きついている。
「ずっとTwitterを見ていた。フィードがChatGPTのスクリーンショットで埋め尽くされていく、異常な期間だった」
公開からわずか数週間。
その熱狂の裏側で、最初に異変に気づいたのは大学の教室だった。
サウスカロライナ州ファーマン大学で哲学を教えるダレン・ヒックは、ある学生のレポートを読みながら手を止めた。
18世紀の哲学者ヒュームについて論じた文章だが、授業では一度も触れていない詳細が「自信満々に」並んでいる。
正しい記述もあれば、もっともらしく見えて事実と異なるものもあった。
問いただすと、その学生はChatGPTに書かせたことを認めたのだ。
ヒックがSNSに綴った一言は、全米の教育者が感じていた不安をそのまま言葉にしたものだった。
「恐怖を感じる」
ニューヨークの公立学校はChatGPTへのアクセスを遮断し、イタリアは国家単位でサービスを一時禁止する。
AIが仕事を奪う、教育を壊すという議論は、もはや一国の中に収まらなくなっていた。
熱狂と恐怖が同時に渦巻く中、その両方を商機と読んだのがマイクロソフトだった。
2023年1月の追加出資で累計投資額は130億ドルに膨れ上がっていた。
ゲイツが「燃やすことになるよ」と鼻で笑った10億ドルは、実に13倍である。
その金がどれほどの怪物を育てたか。
2023年3月に発表されたGPT-4は法律の訓練を一切受けないまま、アメリカの司法試験で上位10パーセントに食い込んだのだ。
前の世代のGPT-3.5は同じ試験で下位10パーセントだったことを考えると、わずか半年で、最下位の落第生が優等生に化けたのは異常と言っていいだろう。
落第生が優等生に化ける技術に、金が集まらないわけがない。
OpenAIの企業価値はこの時290億ドル。日本円にして約4兆円に達していた。
だがChatGPTが安全に動くためには、AIが有害な回答を吐き出さないよう、人間が有害なテキストを読んで分類するという裏方仕事が不可欠だった。
その仕事を引き受けていたのが、ケニア・ナイロビに暮らすモファット・オキニ、27歳である。
時給約1.5ドル。1日に目を通すテキストは最大700件。
幼児への性的虐待、獣姦、拷問——画面に流れてくる文字列に終わりはない。
このときのことを「それは拷問だった」とオキニは語っている。
「金曜日になる頃には、映像が頭から離れなくなって精神的に打ちのめされている」
眠れない夜が続き、人の目を避けるようになり、妊娠中の妻は変わり果てた夫のもとを去っていった。
「あの仕事が私の家族を壊した。私のメンタルヘルスを壊した。ChatGPTが世界中で有名になり、多くの人に使われるのを見て嬉しい気持ちはある。でもあのアプリを安全にする仕事が、私の全てを壊した」
OpenAIはオキニのような労働者に時給12.5ドルを支払っていると信じていた。
だが実際にオキニの手元に届いていたのは時給1.32ドルから2ドルにすぎない。
間に入ったアウトソーシング企業が、大半を抜き取っていたからだ。
1億人が毎日使うアプリの安全性は、地球の裏側で精神を壊しながら働く人間の犠牲で成り立っていたのである。
4兆円の企業価値と、時給2ドルの煉獄。
ChatGPTはその両方を同時に生み出していたのだった。
「人類のためのAI」を掲げて始まった組織は、すでに最初の理念から静かに遠ざかり始めていた。
第4章 5日間のクーデター
2023年11月17日、金曜日。
ラスベガスの空は、砂漠特有の乾いた青さで抜けていた。
アルトマンはこの日、F1グランプリ観戦のためラスベガスにいたのだ。
前の晩、共同創業者でチーフサイエンティストのイリヤ・サツキバーからテキストが一通届いている。
「明日の正午に話がしたい」
それだけだった。何について話すのかは一切触れられていない。
アルトマンはおそらく、その一文をちらりと見て、画面を閉じたはずだ。
サツキバーとの会話など日常の一部にすぎない。共に会社を立ち上げた仲間なのだから。
翌日の正午。アルトマンはノートパソコンを開き、Google Meetに接続した。
画面が切り替わった瞬間、指がトラックパッドの上で止まった。
OpenAIの運営方針を決める非営利理事会——そのメンバー全員の顔が、タイル状に並んでいた。
誰も笑っていない。
誰も雑談をしていない。
会議が始まる前の、あの数秒間のざわめきがない。
全員がすでに「始まった後」の顔をしていた。
サツキバーが静かに口を開く。
「あなたは解任される」
一拍の間。
「すぐに解任を発表する」
告げられた理由はたった一文
「理事会とのコミュニケーションにおいて一貫して率直でなかった」
何を指しているのか。
どの発言が問題だったのか。
説明はなかった。
評価額4兆円の企業を率いる男が、ホテルの一室で、ノートパソコンの小さな画面越しに、職を失った瞬間だった。
アルトマンは後年このことについてこう語っている。
「夢を見ているようだった」。
だがそれは、夢を見る人間の穏やかさとは似ても似つかなかったはずだ。
つい1分前まで確かだった地面が、最初からなかったかのように消えていく——あの感覚だ。
画面を閉じて30分もしないうちに、iPhoneが鳴り始めた。
テキスト、着信、テキスト、着信。通知音が重なり、やがて途切れなくなった。
もはやiMessageはまともに操作できていない。
画面は通知の洪水に埋もれ、読んでもいないメッセージが次々と「既読」に変わっていく。
電話の着信元にはマイクロソフトの名前があった。
ウォール街のアナリストがいた。
記者もいた。
世界中から、同じ問いが押し寄せていた
——何が起きたのか?
アルトマンにも、答えられなかった。
その夜、ラスベガスのネオンはいつも通り街を焼いていた。
カジノの喧騒は壁越しに低く震え、空調が一定の音を吐き続けている。
アルトマンは一睡もできなかった。
窓の向こうで、誰かの歓声が上がる。
F1の週末を楽しむ人々の声だった。
累計130億ドル——日本円にして約2兆円を投じた最大の出資者、マイクロソフト。
そのCEOサティア・ナデラがアルトマンの解任を知らされたのは、OpenAIが公式発表を出すわずか1分前のことだった。
1分。
130億ドルの投資先のトップが消えるという事実を、咀嚼するにはあまりにも短すぎる時間だ。
ナデラの反応について、公式な記録は抑制的な言葉しか残していない。
だが想像するのは難しくない。
自社の未来を賭けた相手のCEOが、事前の相談もなく一方的に排除されたのだから。
マイクロソフトは復帰を求めるも理事会はもちろんこれを拒む。
そしてナデラはわずか2時間後に動き出す。
アルトマンと、共同創業者で社長のグレッグ・ブロックマン。
その二人をマイクロソフトの新しいAI研究ユニットのトップとして迎え入れると、LinkedInで全世界に向けて宣言したのだ。
OpenAIの頭脳を丸ごと引き抜く。
それは理事会への事実上の最後通牒だった。
おまえたちが追い出した人間は、こちらが拾う。
そしてOpenAIに残る700人の研究者やエンジニアは、その事実を見ている——ナデラの声明は、そう告げていた。
だが、アルトマンをOpenAIに引き戻した最大の力は、ナデラではなかった。
従業員たちだ。
月曜日の朝。一通の公開書簡がインターネット上に現れた。
文面は短く、余計な修辞は一切なかった。
要求はひとつ。
理事会メンバーが全員辞任すること。さもなければ、自分たちはマイクロソフトに移る。
それだけだ。
当時約770人いた社員のうち、公開時点ですでに500人以上が署名していた。
だが世界が息を呑んだのは、署名者の数ではなかった。
リストの中に、あるはずのない名前があったのだ。
自らの手でアルトマンを解任した男、イリヤ・サツキバーだ。
安全性のためにブレーキをかけなければならないと信じ、理事会の席で賛成票を投じた男。
その同じ人間が、72時間後、自分が壊したものを元に戻せと要求する書簡に、名前を連ねていたのだ。
サツキバーは声明を出した。
「自分の行動を深く後悔している。OpenAIを傷つけるつもりは決してなかった」
その言葉を打ち込んだとき、彼は何を感じていたのだろうか。
後悔か。恥か。
それとも、正しさを手放す痛みか。
あるいはその全部が同時に、胸の中で渦を巻いていたのかもしれない。
火曜、水曜と名前は増え続け、署名はさらに膨らみ最終的にその数は747人にまで達した。
全社員の実に97%だ。
驚くべきはもうひとつある。
その中に、もうひとつ異様な名前があったのだ。
ミラ・ムラティ。
アルトマンの後任として、理事会が自ら選んだ暫定CEOだ。
つまり理事会はアルトマンを追い出し、代わりにムラティを据え、そのムラティに「理事会は全員辞めろ」と突きつけられたのだ。
自分たちが渡した王冠を、渡した相手に投げ返された格好だった。
理事会の味方は、もう理事会の中にしかいなかった。
そして、その理事会の中からサツキバーが抜けた。
王は追放され、後継者は反旗を翻し、仕掛け人すら離反した。
理事会は、自分たちが始めたゲームの中で、完全に孤立する形になっていた。
11月22日水曜日。
解任からわずか5日後。
サム・アルトマンがCEOとしてOpenAIに復帰し、理事会メンバーは全員退いた。
クーデターが起き、カウンタークーデターが成功するまで、わずか5日間。
安全性のためにブレーキをかけようとした人間たちは、その5日間で組織の中心から弾き出され、サツキバーは数ヶ月後にOpenAIを去ることになる。
そして「Safe Superintelligence」——安全な超知能だけを追求する会社を、自らの手で立ち上げた。
彼が正しかったのかどうかは、まだ誰にもわからない。
ただひとつ確かなのは、アルトマンに逆らえる人間が、もうOpenAIの中にはいなくなったということだ。
第5章 境界線
最初の兆候は驚くほど静かに現れた。
2024年1月10日。
OpenAIの利用規約ページで、一つの文が消えた。
「軍事・戦争目的での使用を禁止する」
創業以来9年間、一文字も変わらなかった条項である。
プレスリリースは出なかった。ブログ記事も、CEOの声明もない。
ウェブページのテキストが差し替えられた——ただ、それだけだ。
気づいたのはメディアのThe Interceptだった。
社内ではSlackの公開チャンネルに数十人の従業員が集まり、懸念の声を上げたという。
だがその声が何かを変えることはなかった。
わずか6日後、スイス・ダボス。
世界の政財界トップが集まるあの会議場で、OpenAIはペンタゴンとのサイバーセキュリティ分野での協力を発表したのだった。
線を一本消すと、次の線はもっと簡単に消える。
5月。世界がGPT-4oのデモ映像を見たとき、多くの人はその性能に驚いた。
だが一人の女性は、別のことに驚いていた。
スカーレット・ヨハンソン。
ハリウッド女優であり、映画『her』でAIの声を演じたことで知られる人物だ。
デモで披露された「Sky」という音声アシスタントの声が、自分の声に似すぎていたのである。
この話には前段がある。
その前年の9月、アルトマンはヨハンソンに直接電話をかけていたのだ。
「音声アシスタントの声を担当してほしい。あなたの声があれば、テック企業とクリエイターの間のギャップを埋められる」
しかしヨハンソンはこれを断った。理由は「個人的なもの」とだけ伝えた。
断られたのだ。
にもかかわらず、公開された音声は彼女の声に不気味なほど似ていた。
そしてデモ公開の当日、アルトマンはXにたった一言だけ投稿している。
「her」
ヨハンソンがAIの声を演じた、あの映画のタイトルだった。
偶然だと言い張ることもできたはずだ。
だがアルトマン自身がその一語を投稿したことで、類似が意図的だったと認めたに等しくなった。
ヨハンソンは弁護士を立て、声明を発表した。
「ショックを受け、怒りを覚え、信じられない思いだった」
OpenAIは音声を取り下げた。
だが、断られた相手の声に似せるという判断が組織のどこで行われたのか。
誰が承認したのか。
その説明は、ついになされなかった。
軍事利用の禁止を消したときと、構造は同じだ。
線を越える。
だが誰がいつ越えたのかは曖昧にされる。
責任の所在が霧の中に消えていく。
歯止めになるはずの人間がいなくなった組織で、境界線は音もなく後退していた。
同5月。
OpenAIからまた一人、人間が消えた。
そうイリヤ・サツキバー。
11月のクーデターの後、彼は一度もオフィスに姿を見せなかったとされている。
復帰したのか、リモートで働いていたのか。それすら社内でも判然としなかった。
5月14日、サツキバーはXに短い投稿を残した。
「約10年間、共に過ごした驚異的な道のりだった」
それだけだ。感謝はある。だが未練はない。怒りもない。何かを諦めた人間の、静かな言葉のようだ。
2日後、もう一人が続く。
ジャン・ライケ。
OpenAIが設置した安全性チーム「Super Alignment」の共同リーダーだ。
サツキバーと共にチームを率い、超知能が暴走しないための研究を担っていた一人だ。
ライケの去り方は、サツキバーとは対照的だった。
辞任と同時にSNSへ長文を綴り、古巣を名指しで批判したのだ。
「ここ数年、安全文化とプロセスは華やかなプロダクトの後回しにされてきた」
OpenAIは安全性研究に計算能力の20%を充てると約束していた。
ライケの言葉は、その約束が守られなかったことを意味していた。
そして彼は2020年にOpenAIを去ったダリオが作ったAnthropicへ移ることになる。
同じ理由で人が去る。それも、二度目である。
サツキバーの沈黙と、ライケの怒号。
辞め方は正反対だったが、二人が見ていたものは同じだった。
自分たちが守ろうとしたものが、この組織ではもう守れない。
わずか1週間で、安全性を管理していた番人が二人とも消えた。
そしてOpenAIは「Super Alignment」チームそのものを解体した。
6月。
サツキバーは新しい会社を立ち上げた。
Safe Superintelligence Inc.——略してSSI。
掲げた方針はたったの一行。
「最初にして唯一の製品は、安全な超知能」
それ以外は何もしない。
プロダクトのサイクルも、収益の圧力も、華やかなデモもない。
安全と能力を同時に、純粋に研究だけで追い求める。
OpenAIの内側でできなかったことを、外側でやり直す。
それがサツキバーの答えだった。
一方、OpenAIの顔として残った創業メンバーは、もはやサム・アルトマンだけになっていた。
9月、アルトマンはブログに書いた。
「数千日以内に超知能が実現する可能性がある」
超知能——人間の知能をはるかに超えたAI。
その実現を、数千日というタイムラインで語ったのだ。
12月には防衛テック企業との戦略提携を発表し、AGIの構築方法に確信があると宣言する。
そして後になって、もう一つの書き換えが発覚した。
OpenAIが設立時に掲げた使命の文言。
その中から「safely」という単語が、いつの間にか消えていたのだ。
1月に軍事利用の禁止が消え、5月に安全性の番人が消え、年が終わる頃には「安全に」という言葉そのものが消えた。
使命文の書き換えは、これで6回目だった。
サツキバーは会社名に「Safe」を入れた。
アルトマンは使命文から「safely」を消した。
同じ旗の下を出発した人間たちが、全く別の方角を歩いていく。
そしてその道は、やがて思いもよらない場所で交差することになるのだった。
第6章 走りながら賭ける
2025年6月、アルトマンはブログにこう書いた。
「もう後戻りはできない地点を越えた。離陸は始まった」
AIが人間の知能を超える日が間近に迫っていると、高らかに宣言したのだ。
記事のタイトルは「The Gentle Singularity(穏やかな特異点)」
自身のブログ記事について、「AIの助けを全く借りずに書く最後の記事かもしれない」とまで言っている。
ところがわずか2ヶ月後、その確信が足元から崩れた。
期待を一身に集めていたGPT-5のローンチが失敗したのである。
性能が退化し、トーンは冷たくなり、機能が壊れた。
アルトマンはこの時のことを「完全にしくじった」と認め、急遽前の世代のGPT-4oを復活させる事態となったのだ。
だが立ち止まっている暇はなかった。
GPT-5の修復と並行して、OpenAIは動画生成AI「Sora」を一般公開する。
映画監督タイラー・ペリーはそのデモを見た瞬間、計画していた8億ドルのスタジオ拡張を凍結。
「AIが規制されなければ、この業界は持たない」ともらしたという。
Soraは公開直後にApp Storeで1位を獲得し、5日で100万ダウンロードを突破する。
12月にはディズニーとの大型提携が発表された。
10億ドルの株式投資と、ディズニー、マーベル、ピクサー、スター・ウォーズを含む200体以上のキャラクターのライセンスという夢のような契約だ。
しかしその夢は驚くほど早く醒めることになる。
Sora公開から半年。2026年の3月。
OpenAIは突如Soraの終了を発表したのだ。
理由はシンプルで、とにかく大赤字だったのだ。
Soraはピーク時で1日あたり約1,500万ドルのコストを垂れ流し、半年間の累計損失は推定4億5,000万ドル(約675億円)に達した。
対する生涯売上はわずか210万ドル。たった1日のコストにすら届かない額だ。
ダウンロードしたユーザーの9割は1ヶ月以内に離れ、競合の動画生成AIには性能で抜かれ、月額200ドルのProプランは高すぎると敬遠されつづけたためだ。
ディズニーがSora終了を知らされたのは、公式発表のわずか1時間前。
マイクロソフトに至っては1分前である。
10億ドルの契約は白紙に戻りディズニーのキャラクターが実装される前に、Soraそのものが消えたのだ。
だがSoraの675億円よりも深刻な問題が、すでに進行していた。
OpenAIが動画に賭けている間に、かつて袂を分かったAnthropicが企業向けAI市場を静かに奪っていたのだ。
気がつけばシェアは半分以下に落ち込んでいた。
OpenAIはCodexに舵を切る。
プログラマーの仕事をまるごとこなすAIエージェントという分野は、もはやAI業界の主戦場だからだ。
OpenAIアプリケーション部門トップのフィジ・シモは全社会議でこう言い放った。
「サイドクエストに気を取られて、この瞬間を逃すわけにはいかない」
だがAnthropicの背中は遠かった。
OpenAIはCodexで正面から勝負を挑みながらも同時に驚くべき手を打った。
競合であるAnthropicの開発ツールの中でもCodexが動くようにしたのだ。
乗り換えてくれないなら、相手の懐に入り込む。
アルトマンはこの頃、AI競争をこう例えている。
「パンデミックが始まったとき、最初に打つ一手はあとから打つ一手よりはるかに価値がある。ほとんどの人間は初動が遅すぎて、あとからパニックに陥る」
第7章 良心の値段
2025年7月。
ペンタゴンと最初にAI契約を結んだのは、OpenAIではなかった。
Anthropicだった。
ダリオ・アモデイがOpenAIを去って4年。14人で始めたあの会社が、アメリカ国防総省と2億ドル規模の契約を交わしたのだ。
ただしダリオは、2つの条件をつけていた。
自律型兵器への使用禁止と国内の大量監視への使用禁止だ。
AIを軍に渡す。
だが越えてはならない一線は引く。
OpenAIを去ったのも、この一線のためだった。
2026年1月。
その一線に正面からぶつかる人間が現れる。
トランプ政権の国防長官ヘグセスだ。
中国のAI軍事利用が加速するなか、ヘグセスは国防総省の全てのAI契約に「あらゆる合法的目的での使用」条項を義務づけた。
AI企業が「この用途には使わないでくれ」と条件をつけることを、政権は許さなくなったのだ。
ダリオの条件と、真正面から衝突する命令だった。
2月26日。デッドラインの前日。
ダリオは条件の撤回を拒んだ。
「良心に反する要求には応じられない」
翌27日金曜日、午後5時1分。
ヘグセスが設定したデッドラインは過ぎた。
直後にトランプ大統領がAnthropicのAIを政府全体で使用禁止にすることを発表した。
続けてヘグセスがサプライチェーン・リスクに指定。
これは政府機関による製品使用を事実上禁じる措置で、本来は中国企業に対して使われるものだ。
このとき大統領がアメリカのテック企業に対して使った言葉は「狂人ども」である。
自国の企業に対して「サプライチェーン・リスク」に指定するのは初のこと。
デッドラインから数時間で、一つのAI企業が国家の敵になったのだ。
Anthropicが退場すれば、ペンタゴンのAI予算には巨大な空白が生まれる。
その隙を狙わないアルトマンではない。
その日が終わらないうちにAnthropicが「良心に反する」と退けたその席に、OpenAIが座ったのだ。
だがこの隙を突いた判断は、裏目に出ることになってしまう。
良心を理由に国家に逆らった企業が叩き潰され、その空いた椅子にすぐさま座る企業がいる——この構図は、ユーザーの目にあまりに露骨に映った。
#QuitGPTのハッシュタグが拡散し、250万人がChatGPTを削除する。
App Storeの1位はChatGPTからClaudeに入れ替わり、大統領に「狂人ども」と呼ばれた企業のアプリが、OpenAIを追い落としたのだ。
OpenAI本社の前にはプラカードを掲げた人々が現れた。
「Sam Altman is watching you」——アルトマンがあなたを監視している。
3月3日、アルトマンはXに声明を出す。
「間違いなく急ぎすぎた。都合のいいタイミングに飛びついたように見えたことは理解している」
声明と同時に、ペンタゴンとの契約に新たな条件を加えている。
国家安全保障局(NSA)による使用の禁止。国内監視の禁止。
しかしこれはダリオが最初から引いていた線と、同じものだった。
4日後、OpenAIのロボティクス部門を率いていたケイトリン・カリノウスキーが辞任する。
「アメリカ市民への司法の監視なき監視と、人間の承認なき致死的自律行動——この線引きには、もっと慎重な議論が必要だった」
自社の幹部が、公の場でアルトマンの判断を否定したのだった。
一方Anthropicが政府を相手取って起こした訴訟には思いもよらない支援者が現れていた。
AI業界各社の研究者や技術者30名以上が、Anthropicを支持する意見書を連邦裁判所に提出したのだ
その中にはなんと、OpenAIの従業員もいた。
競合という壁を越えて、個人の名前で署名していたのだ。OpenAIの中にも、自分の良心で動く人間はいたのだ。
第8章 18兆円の答え
2026年3月、OpenAIは1,220億ドルの資金調達を完了した。_
日本円にして約18兆円。
人類の歴史上、一度に集められた民間資金としては最大の額である。
まだ上場もしていないのに企業価値はこのときすでに約128兆円にまで膨れ上がっていた。
トヨタ自動車の3倍を超える額だ。
調達の中心にいたのが、ソフトバンクグループの孫正義。
一社で約300億ドル、日本円にして約4.5兆円を出した。
ヤフーとアリババへの投資で伝説を作った男が、AIにこれだけの額を張ったのだ。
2019年にゲイツが「燃やすことになるよ」と鼻で笑った10億ドル。
その10億ドルが、122倍になって返ってきた計算になる。
GPT-5の失敗、Soraの675億円、250万人の離脱——それでも週間ユーザーは9億人を超えていた。
月間売上は年換算で約250億ドルのペースで伸び続けている。
もはやChatGPTはアプリではない。
電気や水道と同じように、人々の生活に溶け込んだインフラになりつつある。
だが10年前の「OpenAI」から、多くのものが消えている。
社名の「Open」とは裏腹に、コードも研究も非公開になった。
非営利団体は公益法人に転換され、株主と投資家がいる。
使命文は6回書き換えられ、「safely」は消えた。
マスクは訴訟の相手方に変わった。
去った人間もたくさんいた。
課題も消えていない。
2025年に使った金は、稼いだ金を85億ドル以上も上回っている。黒字化は2030年以降の見込みだ。
マスクとの裁判では最大1,350億ドルの損害賠償を請求されており、著作権侵害の訴訟は50件を超えている。
マイクロソフトへの利益分配も重い。
投資を回収するまで利益の75パーセントをマイクロソフトに渡す条件は、改定されたとはいえ完全に解消されたわけではない。
巨大なパートナーの掌の上にいることは、10億ドルを受け取ったあの日から何も変わっていないのだ。
2015年12月。マスクは創設メンバーへのメールにこう書いた。
「10億ドル集めよう」と
11年後。
集まったのは1,220億ドルだった。
「人類のためのAI」という旗印は形を変え、人を失い、理念に何度も刃を入れながらも、それでも世界最大のAI企業を作り上げた。
それが勝利なのか裏切りなのかは、誰に聞くかで変わる。
マスクに聞けば裏切りだと言うだろう。
アルトマンに聞けば、これが現実だと答えるはずだ。
サツキバーは——おそらく何も言わない。
おわりに
OpenAIの10年は、「理想と現実のどちらを取るか」を問われ続けた歴史だったのかもしれない。
そしてその問いに対して、関わった人間の数だけ答えが生まれている。
マスクは去り、自らAI企業を立ち上げた。
サツキバーはSSIで「安全な超知能」だけを追い求めている。
ダリオはAnthropicを率いてペンタゴンに「良心に反する」と言い切った。
ライケは「華やかなプロダクトの後回し」に耐えかねてAnthropicへ移った。
ケニアのオキニは、ChatGPTの安全性を支えた代償に家族を失った。
そしてアルトマンは、OpenAIを史上最大のAI企業に育てた。
同じ場所から出発した人間たちが、これほど違う場所にたどり着いた組織は他にはないのではないだろうか。
「人類のためのAI」の正解は、まだ誰も知らない。
この物語は、まだ途中なのだから。
筆者あとがき
この記事を書くにあたって最も印象に残ったのは、サツキバーという人物の軌跡だった。創業メンバーとして技術の中心を担い、CEOの解任に投票し、72時間後には後悔して復帰要求の書簡に署名し、そして半年後に静かに去り、新しく作った会社名には「Safe」の文字を入れた。その10年間の歩みが、OpenAIという組織の変遷をそのまま映し出しているように思えた。
《参考資料》
Wikipedia (OpenAI / Sam Altman / Ilya Sutskever / Removal of Sam Altman from OpenAI), CNBC, Bloomberg, TechCrunch, NPR, Fortune, The Intercept, Variety, The Decoder , Responsible Statecraft, OpenAI公式ブログ, Sam Altman個人ブログ, TIME、Axios、Semafor、Hollywood Reporter
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この記事を書いた人
wata9488
フリーライターとして活動しています。 東京在中AI中毒末期。Claude CodeとCodexに人生をささげてます。




























